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2021.4.5

　荒井社会保険労務士事務所の荒井真澄です。

　先日、仕事の移動中にたまたま見つけた桜並木を歩いていました。この辺りでは桜の名所なのか、老若男女、さまざまな人たちが上を向いて、スマホで写真を撮ったりして桜を愛でています。そんななか、ふと前の方におばあさんが一人で桜を見ているのが見えました。不思議だったのは、ちょうどスマホサイズの一枚の紙を、一生懸命に桜の花に向けてかざしていることでした。近くに行くと、何やらぶつぶつと独り言を言っています。少し心配になりました。

　もっと近づき、おばあさんが持っているその紙を見て、ハッとしました。そこには、そのおばあさんと一緒に写るおじいさんの姿があったのです。写真でニコニコと笑う二人の姿に、おばあさんの行動の意味がなんとなく想像できました。もう他界されたのか、もしくは何かの事情でその美しい桜の花を見ることができないおじいさんに桜の花を見せているのでしょう。「綺麗だね〜綺麗だね〜。」と、おばあさんは写真に語っていたのです。

　きっとこれまでも、一緒に桜を楽しんできたのではないでしょうか。そのおばあさんの嬉しそうな表情を見ながら、桜の花の美しさと共に、満開に咲くこの一時の尊さが、ますます際立つように感じられました。まだまだコロナ禍の不安が続いていますが、少しでもそうしたことを忘れることができる、暖かな春のできごとでした。